自分に責任がなくとも、駐車場などに車を駐車している間に他の車が衝突して、さらにそのまま逃げられてしまうといった「当て逃げ」の被害者になることはあります。日本損害保険協会が実施している事故原因の統計調査によれば、年度の車両事故のうち3割程度が駐車場において発生し、さらにその中にはしばしば当て逃げも含まれています。
このページでは当て逃げリスクを下げる方法や、当て逃げにあった際の対処法などをまとめました。
当て逃げされないための対策は、主に監視カメラや防犯カメラに撮影される場所へ駐車する、出入り口付近など人や車が多そうな場所に駐車しない、あるいは周囲の車両と間隔を開けて駐車する、といったものが挙げられます。
周囲の車との距離が近いと、必然的にドアを出入りする際にドアが車体に当たってしまったり、あるいは周囲の車が出て行く際にぶつかったりといったリスクが上昇します。
先に自分が駐車していた場合、思いがけず近い場所へ駐車されることもありますが、原則としては自分からすすんで他の車両が近い場所を選ばないようにしましょう。
店舗や施設の出入り口付近にある駐車場は、それらの利用者にとって魅力的な駐車スペースとして映ることが少なくありません。特に天候の悪い日は少しでも入口の近くへ駐車したいと考える人も増えます。
しかし、人が多いということはそれだけ事故のリスクが増大することでもあります。そのため、可能な限り出入り口や先が見えにくい角に車を停めることは避けましょう。
当て逃げリスクそのものを下げることはできませんが、ドライブレコーダーで当てられた時の状況や当てた相手の正体を記録して、その後の問題解決を迅速化することは可能です。
特に、具体的な証拠がないと、当て逃げは「やった」「やってない」の水掛け論になり得る可能性があり、ドラレコを適切に設置して記録しておくことは重要です。言い換えれば、ドラレコは正常に作動していなければなりません。
周辺に監視カメラや防犯カメラがあれば、自分の車に誰かが当たったりこすったりした際の様子も映像として記録している可能性があります。
個人が店舗の監視カメラや防犯カメラの映像を見せて欲しいと頼んでも応じてもらえない場合が多いですが、弁護士や警察を通して依頼すれば映像記録を提供してもらえる可能性があり、具体的な証拠として活用することが可能です。
ドラレコにも様々な種類や機能があり、ドラレコを設置しているにもかかわらず、万一のトラブルの際に満足できる映像や画像が記録されていない恐れもあります。ここでは当て逃げ対策を考えている人におすすめの駐車監視機能付きドライブレコーダーのポイントをまとめました。
当て逃げ対策にドラレコを導入する場合、ドラレコの撮影画質についても一定以上のレベルにこだわらなければなりません。目安として、200万画素というラインを覚えておきましょう。
低画質のドラレコの場合、せっかく撮影しても相手の車のナンバープレートが正確に判読できなかったり、肝心な部分が荒れて見えなかったりという恐れがあるため、そもそもリスク対策として有効性を発揮できません。
当て逃げ加害者の車は、自分の車両のどちらからやって来るか分かりません。そのため、前方だけを撮影範囲にしている場合、後方や側方からの衝突に対してドラレコが効果的に撮影できない恐れがあります。
フロントカメラとリアカメラの両方のカメラによって前後の撮影を行えるドラレコや、360度方向の撮影範囲を有しているドラレコなどを導入することで、どの方向から衝突されても正確に証拠映像を記録できる可能性が高まります。ただし、広範囲のドラレコは価格も高まってしまうため、コストパフォーマンスを考えましょう。
LEDタイプの信号機は、古いドラレコなどでは正確に撮影されない恐れがあります。信号機の色は事故発生時の過失割合を考える上で重要なポイントになるため、当て逃げ対策や交通事故対策としてドラレコを導入する場合、LED信号機も問題なく撮影できるタイプを選ばなければなりません。
一般的に、LED信号機に対応しているかどうかはドラレコの機能として明示されているため、必ず性能や機能を比較検討してください。
高画質カメラを搭載しているドラレコを選ぶことは重要ですが、同時に暗い場所や夜間、逆光といった状況でも正確に撮影できるカメラを選ぶことが必要です。
そもそも当て逃げや交通事故は晴れた昼間に発生するとは限らず、むしろ夜間の判別しづらい時間帯の方が事故リスクが増大するとも考えられます。
暗くても撮影できるかどうかはカメラのISO感度に左右されたり、HDR対応の有無によっても変わったりするため、事前に確認することが大切です。
現代の車両では燃費効率を向上させたり環境対策を追求したりするため、アイドリングストップ機能を搭載しているものが少なくありません。
アイドリングストップ状態の間はエンジンが止まって発電しなくなるため、ドラレコの中にはバッテリー保護のため、アイドリングストップ時に省エネモードなどに移行するものもあります。しかし、当て逃げはいつ起こるか分からないものであり、アイドリングストップ時にも問題なく撮影できるものを選びましょう。
もしも当て逃げをされたら、速やかに証拠収集や情報の記録、何より警察への通報といった守るべき行動があります。ここで改めて、当て逃げされた際に自分で行うべき内容を把握しておきましょう。
衝突の瞬間を自分で確認できた場合、相手の車両に関する情報を直ちにメモなどで記録しましょう。理想的には車ナンバーを記録できることが望ましいでしょうが、それが難しくとも車両の形やサイズ、車種、色、その他の特徴などをまとめておくことは大切です。
また、同時に事故の時刻や場所といった環境に関する情報もきちんとチェックしておきます。可能であればスマホのカメラなどで相手車両を撮影しておきます。
もしも衝突の規模が大きければ、自分の車両にダメージが与えられただけでなく、相手車両にも相応のダメージが発生しているはずです。そのため、例えば当て逃げの直後に現場を確認して、自分の車両とは異なる色の部品や塗装などが落ちていたような場合、それらは全て重要な証拠になり得ます。
同様に、ガラスも車両によって種類が異なるため、割れた破片も証拠として考えられます。
当て逃げの被害に遭った場合、必ず警察へ通報して対応してもらわなければなりません。ぶつかった部分が小さいとか、自分には肉体的ダメージがないからといって警察への通報をしない人もいますが、正しく警察へ通報しておかなければ後々の問題解決や保険金の支払いにおいて不都合が生じることもあるでしょう。
時間がなくとも、被害の規模が小さくとも、必ず現場で警察へ通報するようにしてください。
駐車場の管理会社へも連絡しておくことがポイントです。
例えば大型スーパーの駐車場で発生した事故であれば、スーパーの運営元へ連絡して問題発生を伝えます。コインパーキングのような場所で当て逃げされた際は、各パーキングの管理会社へ連絡します。
こうしておくことで、問題解決まで場所を占有してしまうことを事前に謝罪できたり、必要な映像を提供してもらえたりといった可能性があるでしょう。
保険会社へ加入している人であれば、事故の発生を各保険会社の担当者へ連絡して対応を相談します。保険会社へ連絡しなかった場合、適切に保険金が支払われなかったり、その後に発生する費用を保険でカバーしてもらえなかったりといった恐れも生じます。
当て逃げのように事故当事者として落ち度がない場合、保険会社が窓口として機能できないことがあるのも事実です。しかし、それでも連絡だけはしておきます。
駐車場のような私有地の中で発生した物損事故は、自分でしっかりと通報したり連絡したりしなければ警察や保険会社へ対応してもらえない可能性が高まるでしょう。また、衝撃が小さすぎて加害者が気づいていない場合もあり、適切に証拠をそろえておくことで水掛け論を回避して、粛々と法律にもとづいて解決策を見出していくことが可能です。
監視機能付きドラレコといえど、機能も価格も様々。どれを選んでいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。各社から販売されているドラレコの基本性能はほぼ同程度のため、それぞれのメーカーの特徴をご紹介します。ぜひ、購入の参考にしてください。